7つの帰化申請をおこなえる条件

7つの帰化申請をおこなえる条件
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帰化申請の条件について

帰化申請の条件は国籍法で明記されているものが6つあります。しかしながら、実際にはこの6つの条件にプラスして「日本語能力」も条件としてあります。ですから、本当のところ申請には条件が7つあるのが実状です。それでは、基本としている7つの条件について紹介していきます。

住所の条件(国籍法第5条第1項第1号)

まずは、住所条件はどなたでも知っていると思います。つまり、申請するためにはその時点で継続して5年以上日本に居住していなければいけません。

この「継続して」という部分が重要です。例えば個人的な旅行などの合理性のない理由で、長い出国がある場合や、在留する資格が継続されていない時には、この継続して5年が該当しないということになります。

しかし、「まだ5年も経っていないから帰化できないかもしれない」と諦める必要はありません。今回の記事の「2. 例外のよくあるパターン5つ」でご紹介する例外的な条件に該当するのであれば、最短で1年に満たなくても申請が可能です。

能力の条件(国籍法5条第1項第2号)

次は「能力条件」です。「能力条件」とは、申請した人に、単独で確定的に法律行為を行うことができる行為についての能力が必要です(※1)。本国の法律や日本の法律のどちらの国でも成人していることが必要となります。

つまりは、本国の法律で18歳が成人年齢の方でも、日本の法律で成人である20歳(※2)になっていないのであれば、満たしていない条件とみなされてしまいます。また、この条件は例外的に緩和されることもあります。

(※1)障害をお持ちの方で能力条件が満たせない場合でも、帰化をしたいという希望がなんらかの形で示すことができれば、申請ができる場合もあります。

(※2)改正された民法が2022年4月1日から施行されており、20歳から18歳に日本の成人の年齢が引き下げられました。

ということは、法律上2022年4月1日以降に18歳で成人になる場合は、日本においても18歳になった時点で能力条件をクリアしています。

ちなみに、韓国を例にすると、韓国では19歳が成人になる年齢なので、韓国籍でさらに特別永住権持っている人が18歳になったとしても、日本の法律上ではまだ成人していないので能力条件を満たしていることにはなりません。その際は19歳になるまで申請できません。

素行の条件(国籍法第5条第1項第3号)

条件の3つ目は素行が良いことが求められる「素行条件」です。

わかりやすくいうと「真面目にルールを守り日常生活している人」が素行が良いということになります。つまり、交通違反を始めとした犯罪行為などを、積極的におこなっていないかどうかは当然として、届出の義務や納税の義務を怠っていないか、不貞行為をしていないかどうかなどです。

しかしながら、実際の素行がよくなかったとしても、この先ずっと帰化申請ができないかというと、そうではなく、一般的にみて一定の期間が経てば許可されることもありますし、すぐに許可される場合もあり、更生の可能性や反省の状況をみて帰化を許可される事がありえます。

生計の条件(国籍法第5条第1項第4号)

条件の4つ目は、日本で暮らし続けていけるだけのお金をきちんと持っているかという「生計条件」と言われる条件です。

この条件については個人的な条件ではなく、お財布が同じであり同じ世帯で判断されるという事が大事な点です。

ですから、帰化申請したい方にお金や収入がなくても、同じ世帯で家計がまったく同じ家族にきちんとした収入や資産があれば、この条件は満たしていることになります。

この条件は例外として緩和されることもあります。

重国籍防止の条件(国籍法第5条第1項第5号)

5つ目は、「多重国籍」という日本の法律では認められていない人を、ださないようにする「重国籍防止条件」という条件です。日本国籍を取得するには、本国の国籍を放棄して、日本国籍の取得と引き換えにしなければいけないという条件です。

具体的にいうと、「日本国籍をとる場合には、二重国籍にはなれないので、現在の国籍は放棄してください」という意味です。

意外かもしれませんが、各国の国籍法では、納税の責任がある場合や兵役が終わっていないなどにより、国籍が放棄できないことがあります。

審査が終了して帰化申請が降りた場合でも、国籍が放棄できないとのであれば、日本への帰化許可はおりませんので注意して必ず事前確認をしておいてください。

また、国籍法第5条第2項では、放棄できない時の特例の規定が存在します。しかし、その特例は非常にまれなので、例外条件としては考えない方が良いでしょう。

憲法遵守の条件(国籍法第5条第1項第6号)

6つ目の最後の条件は「憲法遵守条件」と言われるものです。

具体的にいうと、日本政府を暴力的に破壊するような、国会襲撃やクーデターなどの暴動、日本にとって非常に危険な思想をもつ人やその団体を結成したり、団体に属している人は帰化ができないということです。これは多くの人にとってはあまり気にしなくて良い条件です。

日本語能力の条件:プラスアルファの要件

条件の7つ目、つまり最後の条件は、国籍法できちんとした文章にはなっていないもので、事実上の条件となっているものがあります。それは日本語能力です。

つまり、日本での日常生活を滞りなくおくれる程度の話す、読む、書くなどの日本語の能力が必要ということになります。通常、小学生の3年生くらいのレベルの能力があれば問題ありません。

日本語の能力テストは帰化申請をした人の全員におこなわれるのではなく、審査時に能力テストが必要と判断された人のみにおこなわれます。

その上で、家族の全ての人が帰化申請をしていても、ちゃんとした日本語の能力が認められなく、帰化申請が認められない人がでて家族がバラバラになってしまった、という場合もありますので注意が必要です。

ここまで、帰化申請の時の条件について紹介してきました。

かなり多くの条件や注意点がありましたが、ご自身の条件に合いましたでしょうか?

もしも、条件の中で生計条件、住所条件、能力条件のどれか一つでも満たしていない方は、ぜひ次の章での例外条件を読んでみてください。

場合によっては、例外条件から今のままでも帰化の許可がおりるかもしれません。

例外のよくあるパターン5つ

この先は、これまでに説明した原則的な条件に対する例外条件について説明していきます。

ですから、ご自身の状況にあった項目だけを確認してみてください。

日本で生まれている:住所条件の例外

まずは、日本で生まれている場合という例外の条件の場合です。

国籍法第6条第1項第2号には、日本で生まれていて継続して3年以上日本に居住または住所があり、父親または母親が養父母ではなくて日本で生まれた人、という意味があります。

このことは、次のどれかに当てはまり、かつ、日本で生まれているのであれば、5年よりも少ない在留期間だとしても帰化できる場合があることを指しています。

(1)実母または実父が日本で生まれている(在留なし)

※現在日本に居住している事が前提条件です。

(2)続けて日本に3年以上在留している

実はあまり知られていないのですが、(1)の「日本で生まれてかつ実母か実父が日本生まれ」という事例です。例えると、日本で生まれた外国の方が、海外の駐在から帰ってすぐに継続して3年以上の在留がなくても、その方の実母または実父のどちらかが、日本で生まれたのであれば、すぐにでも帰化申請する事ができます。

しかし、生計の条件が必要なので、その資料の提出を考えると、実際には、帰国直後の申請は難しいといえます

日本で生まれた普通の外国の方なら1に、特別永住の方であれば上の1と2の両方に当てはまる方は多いと思います。

日本人の実子である:住所条件、生計条件、能力条件の例外

次は日本人の実子の場合の例外条件です。

これは国籍法第8条第1項第1号からいうと、養子をのぞいた日本人の子どもで日本に住所がある人は、能力条件、生計条件、住所条件をクリアしていなくても帰化できるとされています。

とすると、未成年でも、世帯としての金銭的能力がなくても、現在日本に居住していて、日本人の実子であれば、帰化申請がおりる事があります。

しかし、緩和には限度がある条件があります。それが生計条件です。

具体的にいうと、単純に働きたくないという理由で生活費を受給し、生活費としていて、さらに改善する意欲も認められないという場合には、申請は許可がおりません。

日本人の配偶者であること:住所条件と能力条件の例外

3つ目の例外的な条件としては日本人の配偶者がいる場合です。

この例外的な条件は個別に詳しく説明が必要なので、ここでは一旦細かい説明は省きます。

しかし、簡単にでもお伝えしておきます。

現在、日本に居住している外国の方で、次の条件に該当する方は、5年間の在留をしなくてもよく、また成人になっていなくても申請をする事が可能です。この場合は、住所条件と能力要件が緩和されます。

(1)3年以上日本に在留している方かつ、日本人と結婚している

(2)日本人と結婚して3年以上経っていてかつ、日本に1年以上居住している

※カップルのおふたりのどちらもが外国の方だとしても、どちらか一方の配偶者が帰化できるのであれば、もう一人の配偶者も「日本人としての配偶者」とみなして、一緒に帰化申請する事ができます。

日本人の養子である 能力条件、生計条件、住所条件の例外

最後の4つ目の例外条件は日本人の養子の場合です。

申請が認められるための例外条件は、先に紹介した日本人の実子の場合と同じです。しかしながら、適用する条件が日本人の実子の場合とは違います。

まずは、現在の条文から簡単に説明しますと、

日本人の養子であること、かつ1年以上は日本に居住していて、本国法で未成年の時に養子縁組した方になります。

日本人の実子で日本に居住していれば、住所条件はそれだけで条件を満たしています。しかし、日本人の養子であるなら、1年以上の日本在留も条件としてプラスということになります。

また、追加する条件として、養子縁組の時の年齢があります。日本人の実子であれば生まれた時から条件を満たしているのに対して、日本人の養子は後から要件をクリアすることができるからです。要するに「日本の国籍を取るための素早い抜け道」として悪用されてしまう可能性を防ぐためという意味になります。

具体的に日本人の養子という条件の場合の例をあげていきます。

例:

日本人の男性がベトナムで駐在員として勤務していた時に、ベトナム人の女性と結婚したとします。その時にベトナム人の女性の6歳の連れ子と養子縁組したとします。

そのあとに駐在が終わって一家の3人で日本に移住して、ベトナム人女性の連れ子である養子は「定住者」という在留資格を持って、日本での在留を始めました。その場合には、日本に在留を始めて1年以上居住してから帰化申請が可能です。

帰化申請するときの条件のまとめ

帰化する時の基本的な条件にプラスして、ご自身の状況に合わせた例外条件はきちんとわかりましたでしょうか?

国籍法は条文が多くはなく、帰化申請の許可に関する記載も少ないのです。

しかしながら、ひとりで帰化申請の手続きを進めていくと、その大変さが段々とわかってきます。条件に合うか、どんな例外があるかを調べつつ、膨大な難しい書類を集めると同時に、申請書類も作成する必要があります。また、平日の昼間に、法務局を何度も何度も訪問して手続きや相談をしなければなりません。できれば専門家に相談しながら進めることをおすすめしています。

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